ルネサンスの家具について

ルネサンスの家具について

インテリア libursini

インテリア用語辞典


スポンサードリンク800.jpg

ルネサンスの家具

ルネサンスの絵画、彫刻、建築は1425年まではイタリアで発展した。しかし、15世紀のイタリアの家具のデザインは、シンプルで機能的なデザインを志向していた。

A. イタリア

ルネサンス時代のイタリアのカッソーネイタリア・ルネサンスの家具における最初の革新は、カッソーネとよばれるチェストである。彫刻や漆喰(しっくい)で技巧的な装飾をほどこした上に、金箔をはったり彩色をしてしあげたもので、デザイン的には古典的なデザインに基礎をおいている。カッソーネの形はローマの石棺からいくらかのヒントをえたものだろう。初期のカッソーネには、国際ゴシック時代の物語「薔薇物語」の場面をえがいたものがいくつかある。

15世紀の絵画にえがかれた室内空間、たとえばカルパッチョの「聖ウルスラの夢」(1490~95)や、フィレンツェのサンタ・マリア・ノベラ教会にあるギルランダイオの「聖母の誕生」(1485~94)などの室内描写は、15世紀末の盛期ルネサンス以前のイタリア家具のデザインがまだ抑制されたものであったことをしめしている。

豪華な寄せ木細工、想像にとんだ彫刻、初期の家具でこのまれたオーク材の代わりにクルミを使用する点などは、1500年代の家具のより華やかな成果を特徴づけるものである。また、それより前の時代とくらべ、さまざまな形態や豪華な装飾がつかわれるようになっている。布や革をはった携帯用折り畳み椅子が復活し、彫刻した背もたれや脚の代わりに彫刻した板で座席をささえる新しい形の椅子も登場する。

B. フランス

ルネサンスの影響を反映する1500年代のフランスの家具には、いっそう豪華な装飾がみられる。フランソワ1世やその息子アンリ2世の宮廷は、イタリアの芸術家たちをやとうことで、ルネサンス様式をフランスに導入した。アンリ2世の時代には、建築家ジャック・デュ・セルソーのデザインを、家具用にかえて利用されたりしている。古典的なモティーフを複雑にならべる彼のデザインが、家具を装飾する彫刻につかわれ、ルネサンスの新しい雰囲気をかもしだしていた。

家具師のユーグ・サンバンは、独創的な彫刻で装飾した彼の作品をあつめた大型本を出版し、大きな影響をあたえた。その特色ある作品は、彼が新しい古典主義に対して、深い理解をしめしていたことをあらわしている。

16世紀のデザイナーたちの流れは、そのまま17世紀の様式にまでもちこされた。柱のような脚をつけたテーブルや板の背もたれをつけた特徴ある椅子は、1560~70年代にはじめて製作されたが、それらは1600年以降も製作されつづけた。17世紀初めにはデザインにもわずかな変化がおこりはじめ、1610~43年のルイ13世の時代になると、家具は16世紀の形態を踏襲しながらも、デザインはいっそう優美になり、彫刻の代わりにめずらしい黒檀(こくたん)や高価な鼈甲(べっこう)をつかうことがふえてくる。

C. イギリス

イギリスのルネサンスの家具はフランスに比較して、基本的によりシンプルである。細部彫刻の優美さもおとるし、ろくろ挽(び)きの部材の装飾も単純で、葉飾りのモティーフも平面的で形式化している。材料は、16世紀のイギリスではあいかわらずオーク材が主流である。そして、フランスの場合と同様、ルネサンスのデザインに対する関心はイギリスでも17世紀の中ごろまでつづいた。

D. オランダ

ルネサンスの形への関心は、17世紀の出版物の中にいくつか記述されている。ヤン・フレーデマン・デ・フリースとクリスピン・ファン・デ・パッセによって、アムステルダムで出版されたデザインに関する2冊の本は、17世紀初頭のデザイン界に大きな影響をあたえた。オランダの家具は、フランスの家具よりイギリスの家具のほうに近いといっていいだろう。ルネサンスのデザインは1650年代、あるいはそれ以降になっても人気があった。

オランダの家具でひじょうに特徴あるものとしては、大型の衣装箪笥がある。これは、箪笥の上部に太く前方にかぶさるような軒蛇腹の装飾をつけ、扉にもとびだしてくるような装飾くり形をつけて3次元的な厚みを感じさせるもので、北アメリカのオランダの植民地ではこれが後代までつかわれていた。ヨーロッパ各国ではそれぞれに独特のデザインを発展させるが、上記の本の影響からか、オランダの影響をみとめることができる。

E. スペイン

スペインでも、ルネサンスの新しい考え方はデザインに影響をあたえたが、一方で、長くつづいた独自のイスラム文明の伝統も生きつづけた。スペインは東方イスラム社会との直接的な接触を長期間はばまれていたが、タイルや革製品にみられる優美な模様、木、鉄、金あるいは金箔を大胆に融合させたデザインは、イスラム文明の影響がつづいていたことをしめしており、16、17世紀になってもスペインでは高い人気があった。


Sponsored-link545.jpg