ロココの家具について

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ロココの家具

ロココの家具バロック様式は人気ある様式として、各地にひろまっていったが、1730年ごろから流行に変化の兆候があらわれる。それは、今日ロココ様式として知られているもので、家具の大きさやバランスに繊細さがもとめられるようになり、家具と人間との関係もいっそう緊密なものになった。これまであった建築的な装飾は、家具に適合しにくいものとされ、パリの住宅の室内におかれるような家具は、部屋との釣り合いよりも人間との関係でその大きさが考えられるようになった。

A. フランスのロココ

フランスのロココ様式は、初期のものとしての重要性や影響力をもっており、またもっとも優美なものでもあった。フランスの場合、ロココ様式はルイ14世の時代にはじまり、ルイ15世の時代に開花する。そこには、多様な材料と特別な技術が必要とされるような意欲的なデザインがみられ、いろいろな方向にまげられた、複雑でまがりくねった形が特徴とされる。家具の脚や縁(へり)、引き出しの前面は金めっきの装飾に縁どられ、空想的な模様が寄木で象嵌されている。また、柱の形をしていた脚は、優雅な曲線の動物の足の形にかわっていった。

B. イギリスのロココ

イギリスのロココ様式はやや抑制されている。象嵌もほとんどつかわれていない。というのは、イギリスの家具職人たちは木目をだすのに大変な技術を必要とする、クルミやマホガニーをつかうことのほうをこのんだからである。イギリスのデザイナーやそれに触発された人々は、先端に動物の爪(つめ)と玉をつけたカブリオール脚を、椅子、テーブル、チェストなどにひろく使用した。この脚先は、中国の青銅製の像にある爪と玉にヒントをえたものにちがいなく(ただし、中国の家具を手本にしたわけではない)、アジアのデザインに対する当時の人気をものがたる。

イギリスのロココ時代も終わりに近づいていた1754年、ロンドンの家具デザイナー、チッペンデールは「ジェントルマンと家具師のための指針」を出版し、そこでロココ様式のイギリス的な解釈をした。また、彼は、ここではじめてロココ様式をフランス風・中国風・ゴシック風などに分類し、それぞれの例もしめした。そして、50年代のフランスのロココは、チッペンデールによって、イギリス風にかえられ、フランスのようにめっきや象嵌をつかわず、技巧的な彫刻で装飾するという方法に翻案されたのである。

チッペンデールや大多数のイギリスの家具師たちがデザインのうえで強調したのは、ロココのもつ気まぐれな雰囲気で、フランスの場合には古典的なモティーフをそれまでにはない新しい方法でつかうことで、そうした雰囲気をつくりだしていた。それに対して、チッペンデールは、中国風やゴシック風のデザインでも気まぐれな雰囲気は創造できるとし、さらにこれらのデザインのほうがフランス風のデザインよりいっそう簡単につくれるとした。

1740~60年ごろ、イギリスのデザイナーは一貫して小さなスケールの作品を製作した。古典的なデザイン、とくにパラディオ様式を踏襲する人もいたが、その場合でも16世紀イタリアの建築家パラディオのルネサンス的デザインは18世紀風にかえられた。たとえば、50~60年代の国王お抱えの家具職人であったウィリアム・バイルは、ロココ様式とともに古典主義的な家具もいくつか製作している。40~80年のアメリカの家具では、純粋なロココ様式と同様におおげさでないスケール感の古典主義的作品も重要な地位を占めていた。

この時期のイギリスやアメリカの椅子のデザインは、それまでの古典的なデザインを重視する方向からはずれたものであった。流行に敏感なロンドンのデザイナーたちは、椅子の側面を優雅なものにかえ、木製の背もたれをつけた肘掛け椅子を発展させた。こうした形態の基本となる形は、大陸で愛好されていた革の背もたれの椅子とはことなるものであった。すなわち、このイギリス型の背もたれの原形は、曲木で背もたれの枠をつくり、その中央部分をうすい板にしたもので、そのデザインは中国の椅子をモデルにしながら、それを自在に変形させたものであった。のちに、背もたれの枠の水平部材は牛をつなぐくびき形になり、薄板にはロココ精神を反映したいろいろな透彫がほどこされた。

イギリスの家具デザインの特色として、木の特性を評価してそれをもちいた点をあげることができるが、アメリカの家具製作でも同様のことが指摘できる。それに対して、ほかのヨーロッパの国々の家具職人たちは、ロココ様式の名にふさわしい幻想的な作品をつくることに熱心で、象嵌やめっきが高価すぎるときには塗料をぬったりした。イタリア、ドイツ、スカンディナビアやフランスのいなかの家具職人たちに、こうした手法がみられる。


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